ミデス
「あのあたり、アルマーシが歩いたところだよ」と映画を観ていない僕に妻が教えてくれた。確かに一人歩けるくらいの岩棚がある。・・・世界大戦下、不時着した飛行士。全身は焼けただれ身元は不明、記憶さえ失ったと思われた。しかし、献身的に看護するハナに、男は静かに語り始める。「自分は北アフリカの沙漠で発掘をしていた考古学者。ある日、友人の妻に出会い、心を奪われてしまった・・・」。道ならぬ恋は悲劇的な結末をむかえる。ミデスの谷は、その男アルマーシが死んだ愛人を抱きかかえ、泣きながら歩くシーンが撮影された場所らしい。設定では文明から隔絶された沙漠であり、瀕死の愛人が身を横たえた『泳ぐ人の洞窟』も傍にあることになっている。